令和5年度補正予算案に係る令和6年実施ものづくり補助金・事業再構築補助金の変更点
令和5年度補正予算案に係る令和6年実施ものづくり補助金・事業再構築補助金の変更点
解説:日本経営ウイル税理士法人
トータルソリューション事業部 MAS監査チーム
今回のテーマは、「令和5年度補正予算案に係る令和6年実施ものづくり補助金・事業再構築補助金の変更点」です。
令和5年度補正予算について
令和5年11月10日、政府は令和5年度補正予算を閣議決定しました。
令和5年度補正予算には、
- 中小企業等事業再構築促進事業を再編した「中小企業省力化投資補助金」や、
- これまでと同じく「中小企業生産性革命推進事業」
が含まれています。
後者の「中小企業生産性革命推進事業」としては前年と同様2,000億円の予算が組まれ、前年と同規模の補助金事業となります。本事業には、「ものづくり補助金」の他に、「持続化補助金」、「IT導入補助金」、「事業承継・引き継ぎ補助金」が含まれています。
「事業再構築補助金」については新規の予算は計上されず、前年度以前から積み立てられている基金を活用した実施となると予想されます。
今回は「令和5年度補正予算案」のうち「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」について、前年からの変更点を整理します。
*本内容は12月7日時点で経済産業省より公表されている内容を元に作成しており、 更新・変更される可能性があります。
ものづくり補助金について
「令和5年度補正予算案」においては、「ものづくり補助金」は、「中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等を支援する」事業とされています。
これまでとの大きな変更点として、「省力化に必要な設備投資等を支援する」という文言が新たに追加された点が挙げられます。
それに伴い、申請枠についても見直しがされて枠の整理統合がされ、「省力化(オーダーメイド)枠」が新規に追加されました。
ものづくり補助金の内容(12月7日時点)
枠・類型
上記の通り、省力化枠が新たに追加されただけでなく、2023年度実施のものづくり補助金の枠のうち4つの枠(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)が、1つの枠(製品・サービス高付加価値枠)に統合され、2つの類型(通常類型、成長分野進出類型(DX・GX))に整理されました。
- 省力化(オーダーメイド)枠
- 製品・サービス高付加価値化枠
・通常類型
・成長分野進出類型(DX・GX) - グローバル枠
補助金額
省力化(オーダーメイド)枠:750万円~8,000万円。 | 公募要領はまだ公表されていないため従来の通り従業員数によるものなのか、別の要件が加わるのかは現時点では不明ですが、従来の補助金額を大きく超える補助金額となるようです。 公募要領はまだ公表されていませんが、従来通り従業員数によって補助上限額が段階的に増加するようです。 |
通常類型:750万円~1,250万円 | 従来の通常枠と同じ上限金額となるようです。 |
成長分野進出類型(DX・GX):1,000万円~2,500万円 | 補助上限額が前年度のデジタル化枠・グリーン枠から増額され上限が2,500万円となります。 |
グローバル枠:3,000万円 | |
大幅賃上げ特例 | 補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、上記枠の補助上限に100~2,000万円上乗せ。 |
補助率
- 原則として、中小企業は1/2、小規模事業者・再生事業者は2/3とした上で、成長分野進出類型(DX・GX)は2/3とされています。また、通常類型のうち、新型コロナ回復加速特例の場合は2/3となっています。
- 省力化(オーダーメイド)枠の中小企業は、補助金額1500万円までは1/2、それを超える部分は1/3とされています。
事業再構築補助金について(12月4日時点)
令和4年度補正予算案では5,800億円の予算が計上された「中小企業等事業再構築促進事業(事業再構築補助金)」ですが、こちらについては令和5年度補正予算案の中では新規の予算は計上されず、代わりに「中小企業省力化投資補助事業」に再編となりました。
経済産業省の資料の中で、注意書きとして下記のような記載があることから、事業再構築補助金については大幅な条件等の変更、もしくは今後の新規公募の開始が遅くなる可能性があります。
「なお、中小企業等事業再構築促進基金を用いて、これまで実施してきた、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、企業の思い切った事業再構築の支援については、必要な見直しを行う。」
中小企業省力化投資補助事業の内容(12月4日時点)
事業再構築補助金の代わりとして新規に実施が予定されているもので、下記の通り、事業目的と事業概要が設定されており、「省力化への投資」に限定した補助金となる見込みです。
事業目的
「中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する。
これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とする」
事業概要
「IOT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する。」
枠・類型
現在公表されている情報では、「省力化投資補助枠(カタログ型)」の1枠のみが予定されています。
補助金額
従業員数によって上限額が分かれます。
・従業員数5名以下:200万円(300万円)
・従業員数6~20名:500万円(750万円)
・従業員数21名以上:1000万円(1500万円)
※賃上げ要件を達成した場合、上記の()内の値に補助上限額をそれぞれ引き上げ。
補助率
- 1/2
現在全区分共通で1/2のみ公表されており、2/3等の増加枠が設定されるかについては不明です。
まとめ
今回は、令和5年度補正予算案での補助金の変更点について整理しました。
一部変更はありますが、来年度も引き続き設備投資に対する補助事業は予定されています。設備投資にあたって、補助金の対象になるのではないかと気になる経営者の方は、一度お問い合わせください。
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